2025年1月、岡村製油株式会社さまの綿実油製造見学をさせていただきました!
日本でここだけー綿実油工場を訪問
大東市立歴史民俗資料館学芸員の森井です。令和7年1月20日に、日本でたった一社だけ今でも綿実油を作り続けていらっしゃる岡村製油株式会社さま(以下、岡村製油)の製造現場見学をさせていただきました!
工場見学の様子
巨大な原料サイロがあります。工場では綿実油以外の油も製造されていらっしゃいます。
明治創業―「河内木綿」のふるさとで
岡村製油では明治25年に創業されて以来、今に至るまで綿実油の製造が行われています。岡村製油のある大阪府柏原市は、大東市と同じ「河内」と呼ばれる地域です。昔「河内」では「河内木綿」と呼ばれる木綿布が盛んに作られていました。綿実油は世界的にみると主要な油のひとつですが、日本では高級油として流通していてスーパーなどではあまり見かけません。明治時代頃から国内の綿栽培が行われなくなっていき、綿実油を製造する会社も次第に姿を消していきました。
岡村製油株式会社
トレードマークとなっている会社の前の水車
この巨大な装置で脱臭を行っているそうです。
さまざまな工程を経てー地域の伝統産業を守りぬく
木綿の油づくりはワタの種子から繊維や殻を除いたり、抽出した油を精製したりと様々な工程があり大変手間がかかります。また種子の15%ほどしか油が含まれておらず、大量の綿の種子を輸入する必要もあります。そうした手間はかかりますが、貴重な技術が失われないように、また地域で昔から続く産業を絶やさぬようにと信念をもって綿実油製造を続けていらっしゃることがわかりました。
ワタの種子
「ワタ」の実から、上質な油を抽出
「木綿」と聞くと真っ先に糸や布が思い浮かびますが、ワタの実から繊維を取ったあとに残る種は翌年種まきするほか、油を抽出することが出来ます。そして、その搾りかすもまた肥料などとして活用することが出来るのです。
ワタの油は酸化しにくく上質で食用油としては最上級の品質なのだそうですが、食用として用いるためには搾り出した油を精製加工する技術が必要です。江戸時代にその技術が見出されるまで綿実油は主に灯火用として用いられていました。
大量のワタの種子。アメリカ、ブラジル、オーストラリア、ギリシアなど世界各地から輸入されています。
大東市でも、深く・広く
昔大東市でも盛んに栽培されていた木綿について広く興味関心を持っていただけるように、これからも様々な角度から普及活動に努めたいと思います。
最後になりますが、ご多忙のところご対応をいただきました岡村製油株式会社 取締役 西川秀伸様に深くお礼申し上げます。誠にありがとうございました。